2022年11月13日日曜日

♪冬が来る前に/塩の道と大糸線(西)

「敵に塩を送る」
上杉謙信が武田信玄へ送った義塩、が事実として有ったならば運ばれた道は千国(ちくに)街道の塩の道、呼称:千国古道。

今は国道147、148号線で有り、JR大糸線。フォッサマグナの西端を糸魚川駅から松本駅まで、線路をつなぐのが大糸線。
今でも塩の道祭りが道中の長野県小谷(おたり)村で毎年行われている。

今春JR南小谷駅近くの売店で酒と共に買った「ほおずき書籍『古道 塩の道(著者:府川公広氏)』」と言う本が私を塩の道へ誘(いざな)った。

上越と信州をつなぐ大糸線と国道148号線は急流姫川沿いに作られ、暴れ川で幾度も壊滅した。対して塩の道は元々、姫川を避けて峠を越す山道だったのでこれら開発や災害に巻き込まれずに今に残った、と言うのが著者の談。
しかしそれにしても塩の道は、山奥過ぎる道を踏んでいる。

大糸線根知駅から、フォッサマグナパークを左手に見て南東に登る根知谷上流の「しろ池」の東側、廃集落戸土(とど)から続く鳥越峠みちに、珍しい「陽刻」のお地蔵さんが有ると言うのに惹かれた。

本の情報(ネットにも上がっている)と国土地理院1/25,000地形図で調べると、我が自転車「快速しらかば号」なら辿り着けそうに見えた。

我が心をわしづかみにした、陽刻のお地蔵さん。凸の文字で「左 ゆみち」「右 よこ川」と彫ってある(写真はネットから拝借)

折しもJR大糸線のJR西管轄区間(糸魚川駅~南小谷駅間)は廃線の危機に瀕している。

大糸線JR西区間(以下、大糸線(西))へは過去に2度行っている。一度は糸魚川から全駅寄りながら車で国道を南下した「廃線されても代替道路はしっかりしているか」のチェック旅。
2回目は実際に列車に乗って「無くて良いかどうか」を感じた旅だ。

糸魚川駅から大糸線に乗ると大きく左にカーブして最初の姫川駅を過ぎたところにセブンイレブン糸魚川大野店(新潟県)が有る。
国道も大糸線も姫川に沿って南下するが、このセブンから北小谷(きたおたり)に有る次のコンビニ(ローソン小谷店、長野県)までは何と30.4kmも有る。離島やへき地ならともかく本州の国道沿いに30kmもコンビニが無い場所なんて恐らくここだけだろう、それが即ち大糸線(西)区間なのである。

長野県最北のローソン。次のコンビニ(糸魚川のセブン)まで30.4km

実際に車で走ればこの区間は、ほとんどがトンネルで有ることがわかる。狭い国道を大型がブンブン飛ばしている。トンネルの間のわずかな境目ごとに、大糸線の駅に降りる道がある。大糸線もトンネルと鉄橋を駆使して難所をトコトコと走り切る。

日に上り下り合わせて15本ほどしか走らない大糸線(西)の、唯一の交換駅が根知駅。1日に3回、上り下り列車が並ぶ時間が有る。

1038根知駅交換。
根知駅から「しろ池」まで車で20分。
ここで「塩の道千国古道自転車乗り」と「大糸線(西)撮り鉄」が繋がった。

自宅から根知駅までは約300km、安曇野ICまで高速道路。時間調整は長野県最北のローソン。
雪が降れば自転車には乗れなくなるし、大糸線(西)もいつまでもつかわからない。11月半ばのワンチャンス。車のタイヤはスタッドレスに履き替えてある。

そんなプランで土曜の午前10時20分に、計画通り根知駅に居た。


早速撮影ポイントを物色する。
ドローンで撮るなら駅東側の畑の間の道路から、スマホで撮るなら駅南側。迷ったがドローンだとガタンゴトンとか踏切の音が入らないのでここはスマホ撮影を選択した。

やがて踏切音と共に糸魚川方向からの列車が1両編成で到着した。フォッサマグナパーク見物らしい2人が降りる。
右側から糸魚川駅行が1両で到着。めでたく根知駅に2台が並んだ。1両✕2が1038、同時に根知駅を離れていく。課題①をクリア。

上り下り列車交換。動画はここに

次はしろ池駐車場に車を停めて、積んできた自転車「快速しらかば号」で陽刻お地蔵さん探し。
しろ池に着く前に「塩の道資料館」に立ち寄らねばならない。

明るく拓けたこの谷には奥深くまで人が住んでいる。糸魚川シーサイドバレースキー場の大駐車場が延々と並ぶ。ブームはとうの昔に去ったが、山の上から日本海を観ることが出来るスキー場で、距離的には富山や新潟からの客が中心だろう。温泉も有るので冬は賑やかに違いない。

油断して塩の道資料館に寄らないまま、しろ池駐車場に着いてしまった。ルートの下調べは済んでいるので自転車を降ろしてヘルメットに手袋を付け、行動食を入れたナップザックを背負う。

登って来た道を下る途中の、雨飾山絶景の場所にお地蔵さん、かわいそうに蜘蛛の巣を被っていたので枝で払いのけた。道中の無事を祈念させて頂く。

立ち入り禁止の看板がものものしい岩魚養殖場を越して、自転車で急登する。きのこ盗難防止の見張りが居る。この時期はどこもものものしい。
秋の渓流釣りで松茸山なんかに不用意に近づくと皆血走っていて、猟銃で撃たれそうな勢いで怖いことがある。
やがて簡易舗装路が終わると北小谷小学校戸土分校廃校跡、ここ(旧)戸土集落は長野県だった。新潟県側からしか入れない長野県。既に戸土集落は離村しており、この分校は昭和49年閉校らしい。

これが分校なのかそれとも民家か

周辺には定住者は居ないので有ろう2軒の民家と、幾つものお墓が有る。人が住んでいた証と言うことか。
人の声がするので何だろうと登って行くと、林道にチェーンが掛かったゲートの手前に白地鉱泉なる水汲み場が有って、数人の土民が水を汲んでいた。自転車で近付くと、この先は抜けられませんよと言う。

ゲートの脇を通して自転車を上げようかと考えたが、まずは自転車を地球ロックして徒歩で進むことにした。その先は、さすがの快速しらかば号でも太刀打ちできない砂利道の急登だった。自転車を置いて来たのは正解。汗をかきながら10分ほど登ると分岐が有り迷う。既にスマホの電波は無く、GPSを頼りに直進する。
やがて送電線の鉄塔に辿り着くが、GPSが示すお地蔵さんはこの辺から山中に少し入ったところ。鉄塔の少し下の倒れた道しるべの奥に踏み跡が有った。勇躍突入する。恐らく多分この辺なんだろうけど、お地蔵さんは見つからない。そもそも大きさも判らないので藪に埋もれていたらわからない。もう少し踏み込もうか迷ったが、林道の方角がわかる内に戻ることにした。それでもやや遭難にビビりつつ、どうにか林道に戻る。

陽刻お地蔵さん探しに突入した場所。地図を見なおすと、場所は恐らくここで合っている

林道を下って先ほどの分岐を今度は左へ。今下って来た林道と平行の道なら、まだお地蔵さんの可能性は有る。登って行くと左に大きく深い谷が現れた。さっきのお地蔵さん探しでもう少し踏み込んでこの谷に落とされていたなら、間違いなく彷徨っていたところだ。たったひとりで少しの水しか持たず、電波も圏外。こんなところで遭難していたらと思うとぞっとする。

やがて上空に電線が現れ、鉄塔の高さまで登って来たことを確認する。
周囲を窺うと谷へ降りる林業用作業テープの目印が有ったので、テープを見失わないところまで降下してみる。捜索するがお地蔵さんの手がかりは無かった。あきらめて林道へ上がり、陽刻地蔵さんには縁がなかった、遭難しなくて良かった、熊に遭わなくて良かったと思い直して、来た道を下った。
もう一方の林道からの降下地点付近。お地蔵さんが居そうな匂いがするんだが..

自転車をつないだゲートまで戻ると先ほどの土民は既に居らず、ちょうど軽トラに乗った御仁が鉱泉の点検に来たようだった。「飲めるんですか?」と聞くと「少ししょっぱいよ」とのことだったので水筒のふたにすくってひと口頂いた。多分無臭の硫黄分だろう「呑む温泉」の味がした。美味しかった。ご馳走さん、と告げて坂を下る。

途中でさっきの土民たちが道の真ん中に座っていた。自転車が通るのにどこうともしない。何なんだあの土民連中は(しかも家族連れ)。

こんな道を登って来たのかと思うくらいの急坂をスリップ寸前のフルブレーキで下った。養魚場を越えて坂の途中の絶景のお地蔵さん。遭難からきっと守ってくれたに違いない。ありがとうございました。

車にそそくさと自転車を積むと、次は大糸線「小滝駅」での列車撮影。塩の道資料館は後回し。首尾よく列車の到着に間に合った。撮影後はまたも根知谷へ、塩の道資料館を探しに戻る。まったくもの好きである。

何とこの時の小滝駅では、糸魚川駅行き列車からひとりの客が降りた。中年女性で、駅から国道に出て糸魚川方向へ歩き始めたから県道に入って小滝川を渡ったところに有る小滝地区の住民と思われる。
JR西が発表する小滝駅の乗車人員(乗車客)はここ数年ずっと2人/日であり、その内のひとりに邂逅したのだから興味深い。

閑話休題、古い民家をそのまま使った「塩の道資料館」は県道から右の高台に上がった古道に有った。入場料400円を払うと管理人兼案内係のご婦人が1階から屋根裏部屋まで丁寧に、説明してくれた。庄屋さんの家、太い柱に分厚い床。農機具が並べられた屋根裏部屋は驚くほど広い。
このお宅のご主人が使っていたのだろう、蓄音機が何台も並んでいる。京都のお寺に納めた丸太を運ぶ橇(そり)は、太い1本の桜をくり抜いたもので4㍍も有る。山の中で、貧弱な道具で、小柄な当時の民がどのようにしてこれを作ったのか。不思議としか言いようがない。ちなみに歩荷(ぼっか)が担いだ塩は約48kgだったそうだ。

ようやくやって来た塩の道資料館。奥が庄屋さんの古民家

ご婦人に、さっき探しに行ったが見つからなかった、と、陽刻のお地蔵さんのことを聞いた。ご婦人はその存在を知らなかったが、戸土のゲートの上だと言うと、「鳥越峠の道だ。あの道はもう長いこと草払いもしていないから今は通れない」と言う回答だった。結局は自転車を結んだあのゲートが「とどのつまり」なので有った。

まさに「とど(戸土)のつまり」を地で行く道しるべ

そう言うわけで、今年の塩の道探訪は終わった。
もう一度小滝駅へ戻る。今度は鉄橋を渡る大糸線の列車を撮るのだ、鉄分補給はまだ続く。
♪冬が来る前に/塩の道と大糸線(西)(了)
さーて、飯田へ向かおう!

2022年9月5日月曜日

ツール・ドx府中

マホアプリ「ツール・ド」を使った府中市内を巡る4コースが設定された。
その内15km、20km、30kmコースは完走賞の商品を貰える。早速30kmから走ってみました!
スタート地点の郷土の森物産館

こで「ツール・ド」アプリを立ち上げてスタート。チェックポイントではチェックインボタンを押すと走行が記録される。
チェックポイント(CP)①、青木屋工場直売店

CP② 卸売市場。スポンサーなんですね

CP③の武蔵野の森公園は、東京オリンピック自転車ロードレースのスタート地点(パレード)になった由緒正しいところ。パレード走行を終えた正式なスタート地点は是政橋

こからは「東京2020オリンピック自転車競技ロードレース聖地巡礼30km」コースにふさわしく、国府「大國魂神社」までオリンピックのパレード走行と同じコースを通る。人見街道の坂を登り佳子さまが通われたICUの交差点を左折。東八道路の歩道には自転車道も有り快適。やがて♪右に見える試験場、左は多磨霊園~♪を経て小金井街道を左折。ここは交通量が多いので走行は要注意。
やがて大欅(けやき)から大國魂神社の参道へ。CP④

大國魂神社東側のモナムール。ここもスポンサーにべんちゃら、CP⑤

途中でデロリアンタクシーを発見!(CP外デス)
何と煙も吐いた!(←YouTube動画16秒)

ースは中央自動車沿いから北上して南武線西府駅の地下道をくぐる。暑いのでペプシコーラを買い、南武線を見ながら飲む。この西府駅は2009年に開業した新しい駅。休憩後、更に甲州街道を渡って武蔵府中熊野神社古墳。車でいつも通過するところだ。自転車だとこう言うところに行けるので有り難い。
CP⑥。色々煩悩をお詫びし粛清して頂きました。宜しくお願いします

う一度甲州街道を渡ってからは、本宿南裏通り、大山道、日新通り、日新四谷通りと交通量少なく走りやすい道。やがて南下して一気に多摩川沿いへ、最後のポイントは、
最後のCP⑦はバイクライフのメッカY's Road府中多摩川店

こからスタート/ゴールの郷土の森観光物産館へは府中多摩川かぜのみち(多摩川沿いのサイクリングロード)でわずか4.5km。
やがてゴール。距離はちょうど30km、所要1時間55分の快適なポタリング。

しかし何と「月曜日は休館日」で、賞品を貰えず!!
しかし心配なく、休館日や閉館時刻を過ぎての到達は、窓に貼って有るQRコードから申請することが出来ます。賞品は後刻郵送で届くとのこと。
賞品は各コース先着200名。早めにコンプリートすることにしましょう!
(了)




2022年7月12日火曜日

哀愁の警視庁パトカー

母方の叔母の余命宣告(ステージ4のがん)報を聞き、お見舞いに警視庁のパトカーを持って行こうと思いついて、早速Amazonをポチり、クラウン200系パトカーを入手した

制服・覆面いずれも作れる優れもの

叔母が可愛がっていた孫がこの春、大卒で警視庁に入庁した。その孫がパトカー乗務することを叔母は楽しみにしていたが間に合わなくなった。そこで警視庁パトカープラモの出番となったわけである

ご開帳。
過日作ったVWビートルと同じ青島のシリーズだが部品数が格段に多い

ボディの白(クラウンパトカーの光沢白)を重厚に出したい思いが募り、タミヤのファイン・サーフェサーを重ね塗りした。タミヤのピュアホワイトスプレーも揃えた

ボディの塗装にこだわりつつ、各パーツ作りを並行で進めた。この時は順風満帆に見えていたのだが

肝心の叔母の容態は小康状態と伝え聞き、まだ数回はお見舞いに行けるかな、と呑気に構えていた。その慢心が有ったからでは無かろうが、ボディ塗装が厚化粧になり過ぎて、リカバリーのやすり掛けも失敗した!

ボディのボンネットがぼこぼこに変形してしまった(写真真ん中の、白黒境目の上辺り)。もう修復は効かなかった(黒塗りや赤丸は後刻塗装の練習用に使ったもの)

もう修復は効かなかった、あのクラウンの滑らかボディは失われた。
母曰く、次のお見舞いまでにはまだ時間が有る。
迷うことなく青島パーツセンターへ代替ボディを注文した。ボディ単体は700円。
数日で振込用紙が届いたのでコンビニで手数料・送料込み1,200円ほどを入金する。
やがて代替ボディがゆうパックで届いた。掛かった日数は全部で1週間ほどだった。
今度は慎重に、良く見るとボディの白は理想に近いほどの綺麗な白だった。中性洗剤で丁寧に洗い、丁寧に乾かし、熟考の末、ボディにはタミヤクリヤーのみ吹くことにした。もうやり直せる時間は無い

内装床にはその辺にあった偽ベルベット風の生地でカーペットを貼った

制作は順調に進んだ。ボディ白黒塗分けとデカール貼りのみ残していたある日、叔母危篤の連絡が入った。明日まで持つかどうかだった。仕上げを急いだ。もしボディ交換のタイムラグが無くても、コロナ禍と言うことも有って、実際のところ親族でも面会できる機会は無かった。そう慰めつつ仕上げを急いだ

そうして完成をみたクラウン200系警視庁パトカー

叔母はその晩に息を引き取った。最後は肺炎だったそうだ。
お見舞いには間に合わなかったが、亡くなった翌朝に枕元へ届けた。
形見として警官の孫が預かってくれます。大変お世話になりました、天国でのんびりして下さい

叔母さんさようなら。ホントは見せてあげたかったけど

余命宣告を聞いたのはほんの1ヶ月ほど前だった
2022.6.11 Amazonポチり
2022.6.17 青島パーツセンター注文
2022.7.1夜 没
2022.7.2朝 パトカーお届け
2022.7.9 お通夜
2022.7.10 お葬式
(了)

2022年6月27日月曜日

おと休パス旅202206日本海縦断の陣

 おと休パス旅202206日本海縦断の陣

5月に北海道羅臼~網走~常呂旅をやったばかりだが前回は飛行機とレンタカー、それに対し今回は道中レンタカー無し、全線呑み鉄OKの鉄道旅。
JR東日本大人の休日倶楽部パス発売に合わせての連発企画になってしまった。
東京駅からはやぶさに乗るのはお決まりだが、ところどころに必見ポイントを散りばめた今回のプランは欲張りも良いところで、何と最終日には廃線危機にある大糸線(パス外のJR西区間)にも乗ってしまう。
では金土日3日間の東日本ぐるり一周左回り旅をスタートしよう!

<初日>
金曜日

今回の旅は東京駅0908発のはやぶさ11号でスタートだが、西国分寺駅発0813の武蔵野線むさしの号があるので少し早いがそれに乗って、はやぶさには大宮駅から乗り込むことにした。
武蔵境からの下り中央線快速が209系、むさしの号も209系とまずは朝から縁起が良い。
東北新幹線の大宮駅~盛岡駅間開業40周年が前日だったが、大宮駅では大したイベントは行われていなかった。
テレワークも若干しつつガラガラのはやぶさ8号車で早速ビールとハイボール。
ガラガラのはやぶさ8号車は次週から指定席化されるので、自由に使えるのも今日が最後になった。今日の車内には客足は戻り満席で立ち席特急券も売り出されているのに、ガラガラの8号車は罪深い
幾度かガラガラ利用で良い思いをさせてもらったはやぶさの8号車「オフィス車両」現サービスは今日が最終日。終了するのははやぶさとはやてで、かがやき等ではまだ利用出来る

あっという間に仙台駅、そのまま盛岡まで乗ると八戸はもうすぐだ。こまちを先に行かせて身軽になったはやぶさだが、どうでもいいいわて沼宮内駅、二戸駅と義理堅く停まって最初の目的地 八戸駅に着く。ここも開業記念イベント無し。
24分間の乗り継ぎで八戸線久慈駅行きに乗車する。
まばらに座席は空いているのものの、ローカル線の乗客は荷物を座席に置いたりしてまるで譲ろうとする気が無い。嫌だね痴呆の田舎者は。
21分間の乗車で1225鮫駅下車。
うみねこ繁殖時期の蕪嶋神社が初日最初の課題。
昨年12月に八戸岸壁朝市に来た時も寄ったが、この時うみねこはまだ渡って来ておらず不気味に綺麗で静かだった。
期待を裏切らない今回のうみねこ群。まだ羽根が生え換わっていないヒナが沢山いて、親鳥は子育てに追われている。それにしてもギャーギャーとやかましい。
巫女さんたちも良くこんなところで働いているもんだと感心する。

Before(21年12月)

After(今回)。やはり蕪島神社はこうじゃないとね。靴底に大量の「ウン」が付きます

YouTube
うみねこ

御朱印を貰うと「祝百周年」と有った。
これは蕪島ウミネコ繁殖地として天然記念物に指定されたのが1922.03.08(大正11.03.08)と言うことらしい

ひと通りうみねこをからかった後は海沿いで昼飯。
いわみ食堂は休みだったが、けなげに開いてた定食屋かあちゃん。これほどのホッケ焼きは喰ったことが無いほどの美味トロホッケが見事。お店にいた常連地元の主婦連4人みな焼魚定食でサバ✕2人、ホッケ✕2人だったから我らの焼魚定食¥550-の注文は正解だったと思われる。味ポンが添えられるのも新鮮で迷わず☆☆☆☆☆。サバも美味かったとは同行O氏の談


今日もけなげに営業する「かあちゃん」。美味しい定食をありがとう!

鮫駅へ戻り1424発の八戸線で八戸駅へ戻る。往路と同様の車内。八戸線の乗客にはモラル教育が必要だ。
1445着 1515発のはやぶさ23号。このまま津軽海峡を越えたい衝動を抑えて新青森駅。
1529着 1542発で弘前行き普通列車。
五能線起点の川部駅に着くと、くまげら編成のリゾートしらかみが停車していた。
初代ぶな、初代青池に続いて導入されたくまげら編成だが、ぶなと青池は既に新型車両に置き換わっているので今のくまげらはおんぼろだ。
川部駅から20人ほど乗ったが10人以上が津鉄太宰治ワールド始点の五所川原駅で降りたので、その後の乗客は先頭車両に5人、2両目ゼロ人、3両目1人、4両目2人の計8人になった。
ボロいくまげらながら私的には3回の五能線でぶな、青池、くまげらと3タイプに全部乗ると言う快挙。
大人の休日倶楽部パスの威力はもの凄い。あいにくの天気で車窓はさっぱり。

リゾートしらかみ全編成制覇達成のキハ48おんぼろくまげら編成

1620川部駅発4両編成のおんぼろくまげらは雨の中を揺れながら、うめきながら走る。
こんなボロ列車でリゾート何とかと謡い座席指定券530円も取ったら、初めて乗った客は幻滅することだろう。乗って楽しい列車とか何とか騒いでいるけど、こんなことやってちゃ駄目。リピーターが来なくなる。
1804 深浦駅着。くまげらに5人残る。
宿の送迎バスでコンビニに寄って貰い、リーズナブルで露天風呂も秀逸な深浦観光ホテルに投宿。マグロ刺身、塩麹鯵のなめろう、酒(夕陽海岸)が進むが雨でサンセットは観られず。まったくもう

<初日の移動情報(金額は正規運賃)>
東京駅〜鮫駅 16,810円、643.7km 乗車時間 2h30m
鮫駅〜深浦駅 6,140円、201.1km 〃 3h47m
計 22,950円 844.8km 6h17m

<2日目>
土曜日
0850 送迎バスでホテル発
0921 深浦駅発 五能線快速に乗車、1037 東能代駅着。自由席に並んで1056発 特急つがる2号で1145 秋田駅着。軽食を購入し1208 羽越本線酒田行き普通列車。横並びのシートで退屈。西に行くに従って徐々に天気が良くなるのが救い。1358 酒田駅着、1431発の特急いなほ10号(自由席)で1550 村上駅着。天候回復!
いなほ(上)とつがる

<コラム>
村上駅と北側隣駅間島駅との間にはデッドセクションが有る。羽越本線直流電車区間の北限で、山陽本線下関駅から東海道本線東京駅や高崎線高崎駅、長岡駅、新津駅を経て長らく続いて来た直流電化の終端駅でも有る。交直流電車特急「いなほ」や臨時快速「海里」(ディーゼルハイブリッド車両)は直通するが、鼠ヶ関・酒田方面に向かう普通列車はすべて気動車で運行されている。これはJR東日本が交直両用の普通列車を持っていない為だ

村上駅前の観光案内所で三面川Tシャツを購入。
1630 宿のご主人運転の送迎バスに乗り込み、お願いして城址町の町屋、武家屋敷通りなどを巡って貰う。観光タクシーに乗らなくて済んだ。
村上城は石垣が少し残る山城で天然の要塞。再開発された町屋通りが、村上駅から1km以上離れているのがネック。駅をこっちに持って来ると良い。
酒(〆張鶴)と鮭と情けの町村上。街中にホンモノの鮭がぶら下がっている。村上の方言で鮭はイヨボヤ。天候は回復し青空が観え始めた!

近づくと匂いも強烈なド迫力

瀬波温泉「大清荘」にチェックイン。雨男は離脱して自ら去ったので今夕は夕陽を拝める。有り難いことだ。
サンセット時刻は1909。晩メシの酒は〆張鶴(花)
北朝鮮の短波を聴きながら部屋飲み。

<参考移動情報(金額は正規運賃)>
深浦〜村上 8,360円、335.9km 乗車時間 6h29m
乗った時間の割には、本日の移動距離はわずか


<3日目(最終日)>
日曜日
0730 タクシーでホテル発。ご主人が送ってくれる予定のところ従業員の欠員が出て止む無くタクシーになった
0803 村上駅発特急いなほ4号自由席に並び 0850新潟駅着。途中、坂町駅を過ぎた左側に火災で死者が出た三幸製菓荒川工場。車窓に献花台を見送る。

新潟に来たら拉致現場で横田めぐみさんへ想いを馳せなければならない。
バスで往復すると1021発のしらゆきを逃しそうなのでタクシーの運転手さんに頼んで往復で走って貰う。目的地は新潟縣護国神社。
0905 護国神社着。まずは一の鳥居方面へ進み、拉致現場を経て海まで歩く。今日は晴れた日曜の朝で現場は明るいが、曇天の夕方は今でもうすら寒いところ。ちなみに拉致現場から平壌までの直線距離は1,160km
護国神社参道一の鳥居手前のこの看板だけが当時の悲劇をつなぐ

本殿に戻りお詣りと御朱印。期間限定ウクライナ平和祈念御朱印が500両~
さすがは護国神社と言ったところか

0940 すっかり長居をしてしまった。待っていて貰ったタクシーに戻って再び新潟駅へ
0955 新潟駅着。NewDays(パスで10%引きは超お得)でお土産、昼飯と酒を追加(日本酒は呑み飽きたので以降は洋酒に遷移)
1021発 マイナー特急しらゆき4号。その前に「海里号」の出発セレモニーに遭遇
「お気をつけて!動画」はここに(YouTube)

一応しらゆき。車両はひたちのお下がり

しらゆきはまじめに走り、1210 直江津駅着。JR東日本の西端。ここから糸魚川駅経由大糸線南小谷駅までは大人の休日倶楽部パス外。きっぷを買いたいが乗り換え時間が足りない
めちゃ端のホームに停まっていて乗り換えを急かされたトキ鉄日本海ひすいライン・泊行き。たった1両

慌ただしい乗り換え時間に止む無く雪月花も撮る。トキ鉄には座れたが車内でも改札も検札も無し
1215 直江津駅発 1257 糸魚川駅着。着いたホームのこれまた端っこ4番線が大糸線のホームらしい。乗車位置の案内も1両なのか2両編成なのかの案内も無い。もう見捨てている、投げやり、やる気を失っているようにも見える。乗務員がやって来たが先の方まで歩いて行かないのでこりゃ1両だなと当たりを付ける
1310、大糸線車両が入線、案の定の1両ぽっち。幸いドアは前後共に開いたのでここぞとばかり前扉から乗り込み、計画通り進行方向右側の席をゲット出来た。ここから終着南小谷駅までは1時間以上掛かるが、無慈悲にも座れない客を大勢乗せた廃線間近のキハ120形車両は1323発でトコトコと走り出す

<車窓所感>
以前のBlog
「ウンヨウBlog: 糸魚川~静岡構造線上でわしも考えた(大糸線JR西日本区間南下大作戦) 」でもレポートしたがあの時の車での国道南下に加えて今回は列車で南下。
鉄道・道路両面から廃線是非をレポートしよう。

糸魚川駅を出発したキハ120は左にカーブを取りやがて高速をくぐるが、市街地はここまで。
1328姫川駅、1331頸城大野駅、1338根知駅ともに単なる乗降場。前回も今回も、乗降客無し。
次の小滝駅は姫川の上にホームが有る感じの、車で行ける秘境駅。JR西日本の発表では乗車客数1日2人が何年も続いている。発電所の決まった誰かが乗っているのかは不明だ。
お次は平岩駅。駅前に「謙信」の看板を掲げるホテル御用達酒屋が有る。廃屋も多く生活臭は薄い。右前方に白馬大仏が観える。姫川温泉の大ホテル国富 翠泉閣が線路脇に有るが、ここの従業員が大糸線を使っているとも思えない。
北小谷駅では山屋か仕事か、数名のおじさんが乗って来た。本日初の乗降客で有る。そう、この路線は糸魚川駅を出ると終着の南小谷駅まで誰も降りないので、座れなかったら立ちっ放しが1時間以上続くのだ。
中土駅は終着南小谷駅の隣だがまだ生活臭は無く、鎮座する発電所のお付きの駅のよう。

皮肉にも今日はこんなに混んでいる大糸線キハ120の車内

気候の良い今は、根知駅以南中土駅までの姫川沿いの車窓は良い。緑は深いし川の流れもダイナミックでまるでアトラクションだ。しかし雪や台風に見舞われれば話は別。フォッサマグナの西端上を走っているから大地震の恐れも常にある。

根知駅~中土駅間の線路は姫川沿いの崖っぷちや鉄橋を走るか、トンネルが大半を占める。そもそもヒトが住んでいる場所では無いのである。これは国道側も同じで、半分以上がスノーシェード(函嶺洞門みたいな半トンネル)を通る。即ちこちら側にもヒトは住んでいない。

ここでJR西日本発表の数字を見てみよう。
<2020年度平均通過人員および旅客運輸収入>
  • 運行距離 35.3km
  • 通過人員
    • 1987年度 987人/日
    • 2020年度 50人/日
    • 旅客運輸収入10百万円/年
  • コロナ影響前、2017年〜2019年平均の
    • 営業係数 2,693(100円の収入を得るのに2,693円掛かる!)
    • 年間赤字額 5.7億円
鉄道が廃線になると普通はバス代替。しかし書いて来たように根知駅~中土駅間の乗降を考慮する必要は無い。課題は糸魚川市街と小谷町内を直接行き来する足だが、生活圏が異なるから恐らくそれを必要とする住民は居ない。
日本海側は糸魚川市で、南側は小谷町でそれぞれ考えれば良い話だろう。
クルマでも走り列車にも乗っての所感は、根知駅~中土駅間は「海みたいなもの」。
JR東日本が終着を中土駅まで伸ばしてやるのが良いかも。でも電化しなきゃダメだしそこまでする意味も無いか。

そんなわけで色んな課題を抱えつつ1323に糸魚川駅を出た大糸線キハ120形はそれでも定刻1425に南小谷駅に着いた。

終着の南小谷駅には、まるでJR西日本区間に対する差別・あてつけの様に、ピカピカの15時発新宿行きあずさと、1516発のHB-E300系快速リゾートビューふるさとが停まっている。北の国民がソウルを見るとこんな感じなんだろう
悲哀の南小谷駅。右:我らが乗って来たJR西日本区間の気動車。中:リゾートビューふるさと(海里と同じハイブリッド気動車)、左:電車特急あずさE353系。真ん中の電柱が38度線

1500発のあずさで帰っても良かったがここはもう一丁欲張って、1516発快速リゾートビューふるさと。穂高や槍ヶ岳、青木湖・木崎湖を望める右側の座席をゲット。この列車は松本駅で進行方向が変わり篠ノ井線に入って姨捨駅に停まるのが売り物だが、南小谷駅からは数組の乗客しか乗っていない。
信州戸隠出身と言う車内アテンダントから酒(缶ハイボール)は買えたが、車内専用グッズは置いていなかった。
1715 松本駅着、急いで駅弁と信州赤ワインを買って1720発のあずさ50号千葉行きに乗車。旅の最後の特急が千葉行きとは締まらないが仕方ない

ところで、大人の休日倶楽部パス外の、直江津駅~南小谷駅間のきっぷはどうしたか?
結果的には「運賃を払わなくても乗れた」。
直江津駅ではJR東とトキ鉄間の改札・検札は無く、トキ鉄~JR大糸線間の糸魚川駅にも無かった。
南小谷駅に着けばJR東日本管内なので、パスで改札を出られる。駅の係員も無関心だ。
しかし今回は、律義に糸魚川駅~南小谷駅間のきっぷを買いました(それでも直江津駅~糸魚川駅のトキ鉄分は払っていない)。
糸魚川駅で酒と軽食を買おうと一旦改札を出た(無人だったので)。構内のセブンイレブンで買い物をし、きっぷを買った。そんなカラクリで、記念乗車券は手に入った。
人手不足でそんなとこにカネは掛けられないんだろうけど、儲からない、赤字だと嘆く前に、取るものをちゃんと取ったらどうですかね、大糸線もトキ鉄も
無チン乗車して良いのはオカマだけ

やがてあずさ50号は1942に立川駅に着いてひとり降り、2010新宿駅でもうひとり降りてこの旅は終了

<参考移動情報(金額は正規運賃)>
村上〜南小谷 6,830円、271.1km 乗車時間 4h25m
南小谷〜新宿 8,580円、295.2km 〃 4h54m
計 15,410円 566.3km 9h19m

今回もいい感じに汚れたパス

東京駅から北へ八戸駅、その後は時計と反対周りに東日本の外周を一周

3日間の総乗車距離は 1,747km 総乗車時間は 22h05m となりました。
距離は東京から日本最南端 沖ノ鳥島までの直線距離に匹敵。
それにしても3日間で22時間も列車に乗っていたとは、こりゃ凄い(笑)呆れます


ちなみに「沖ノ鳥島」。ここへは、行きたくても行けません

Special Thanks、特にかあちゃんと、大清荘のご主人に
(了)

2022年6月17日金曜日