2016年6月19日日曜日

JOI-X 20周年記念大会@西表島奇譚(1)

JOI(June Of Islands、6月の島)は今年でジャスト20年。遡れば1996年の三宅島がスタートだ。
その後三宅島「雄山」の2000年の噴火を機に式根島が主戦場となり、昨年は奄美遠距離遠征にシフト。そして記念すべき今年の第10回大会は(小笠原とともに)東洋のガラパゴスと言われる「西表島」遠征に決まった。
東京発組は最大5名だったところ残念ながら2人の都合が付かず、3人になった。沖縄F3(エフキューブ)からは4人の計7人。キャンプ地は上原港に近い、ミトレアキャンプ場に決まった。
石垣発西表島上原港行きフネはひとり2,060円、往復割引有り、直行で4〜50分、鳩間島経由だと1時間強。
さて今年の珍道中、果たしてどうなりますか‥

写真はここに!
ここにも!


----------
2016年6月16日(木)
アウェーのANA羽田空港カウンターに持ち込んだ石垣島行きスーツケースは32kg。隊装備を持っているから減らしに減らしてもこれが限界だった。大きさも超過で自動預け機では預けられない。
ホームのJALなら+20kgオーケーのところだが融通利かず、仕方なく4kg分を機内持ち込みサブバッグに移し28kgにして、超過料金2,500円を支払って積む(30kgオーバーだと+1,000円)。
ラウンジを使えず、B1のFMでバドワイザーを買って下々の民と共に飲む。搭乗時刻ギリギリに富岡隊員が登場。同じ飛行機で石垣島へ向かう。大野隊員は別便で先行だ。

機窓から与論島、伊江島、伊良部島、多良間島を観ながら石垣島へ。
石垣島空港到着後は離島ターミナル直行バスに乗車。540円、所要時間は30分。ここで先発買い出し組と合流予定である
----------

昨年の奄美以上の非日常を、きっと西表島なら味わえるだろう。だがしかし、南西度とジャングル度が増す分、更に厳しいキャンプになるに違いない…
例によって構想半年滞在4日の島キャンプ、今年の作戦会議(会議名: Lerche(レルヒ))は某月某日ひばりヶ丘の居酒屋および五反田のタイ料理屋で厳かにもキッチリと行われた。
今回初参加となり既に石垣島往復チケットを入手していたL社E嬢は運悪く某プロジェクトメンバーにアサインされて仕事が忙しくなり、行けなくなりそうな雰囲気が漂って来た。やがて奄美の海女ジンちゃんがリタイヤを表明。さらに後日E嬢も正式リタイヤとなって、東京発5名は3名にシュリンクされたが、それでも前を向き視線はキッチリと南西諸島方面を捉えていた

石垣島だと厳しいが西表島でなら南十字星が観える。以前読んだ記事がずっと気になっていた。西表島はサンゴの隆起でなく火山性の山で、いわば海岸線しか平坦な場所は無いようだから、きっと南十字星の観える場所は南に開けた高い丘の上、そう言うところへ晴れた晩に行かなければ観えないだろうと考えた。
そうなると難問は、夜酒を飲まずに運転する輩が居るか?と言うことになる。
これには解が無い。
取り急ぎiPadにステラHDアプリを入れて、後は現地で考える事にした。

結論から先に書いてしまうと南十字星4個のバッテンの内、左上の1個だけ、キャンプ場から観えた。
敗因は満月前日の月が明る過ぎたことに尽きる。全天球晴れの最終日の晩。全くもって残念であった..


買い出し組は石垣事務所の奴隷も駆使して、大量の食い物飲み物を石垣島港離島ターミナルへ運び込んだ。まだ物足らず買い足しに行く。そのスキに箱詰めを整えヒモを掛けて、いつ帰って来ても良いように船着場近くに積んだ。
結局16:10発のフネには間に合わず、17:30発鳩間島経由の最終のフネで西表島へ渡った。フネのデッキの荷物置き場をほぼ我々の荷物で占領した。

ほぼデッキを占領した。大型スーツケースと映っているダンボールはすべて我が隊のものだ

今回タクシードライバーをかって出てくれた沖縄のロバート・デ・ニーロこと足立長老は買い出しを當間御大と大野ちゃんに任せて、レンタカーを借りるために一足早く大原港へ渡っていた。
石垣島からフネが着く港は2つ有って、南部に大原港、北部に上原港。キャンプ場は上原港にほど近いが、レンタカーの都合で長老は大原港へ。大原港から上原港までクルマで1h掛かるから難儀である。

そんな長老タクシーに上原港へ迎えに来て貰った我々は港から早速キャンプ場へ。
西表島ミトレアキャンプ場は、昨年の奄美大島ドレンキャンプ場に負けず劣らず素晴らしい。清潔なトイレに洗面所、24h無料の温水シャワー!
炊事場の流しも使い勝手良いし常設の据え置き型テントには扇風機付き、共用の冷蔵庫も有って文句の付けようが無い。そして何と言ってもハンモック。暑さを凌ぐには外で寝るのが最高だ。
ウミガメが産卵するプライベートビーチを有した点のみドレンキャンプ場に軍配。
ミトレアキャンプ場から海(船浦港)までは徒歩5分だ。

翌日那覇の奴隷も加わって概ね定位置が形成された。ひなたは暑いから必然的にここにいるのが一番多くなる
キャンプ場でひと息つくまでも無く御大は雛鳥の丸焼きに取り掛かる。重たかろうが何だろうが、この為にダッヂオーブンを運んで来ているんだからさすがである。
鶏には下ごしらえが施して有って、お腹にはピラフも詰まっている。炭を熾しガスコンロでメシを炊きカレーも作る。ボリューム満点の若鶏だけでも腹一杯になる。かなりくたびれていたtanaka隊長は宴会途中で抜け出し、扇風機付き固定テントで撃沈、久々の爆睡。

ダッヂオーブンで焼いた、當間御大による丸焼き若鶏。お見事!
本格的アクティビティは翌朝からである。
例によって暑いので早起きして、良く冷えたビールを飲んで、残っていたカレーを中心の朝食。
浦内川クルーズを始め、ゴムボートをどこから出せるのか、釣り餌は何が良いのか、その他アクティビティに関する諸々の情報が圧倒的に不足していた。食卓の片付けを女子に任せ、長老タクシーで下見に出る。
釣り場はキャンプ場を下ったところにある船浦港で何とかなりそうだった。
釣り道具屋はやる気の無い店が1軒有るのみだが、最低限の仕掛けと餌は手に入る。釣り人のほとんどは渡船で出るから、釣具屋の需要は少ないのだろう。
浦内川は浦内川観光と言う会社によって自分の川のように専有されている川で、トレッキング、ジャングルクルーズ、マリユドゥの滝見物もみな浦内川観光の船着場からで無いと行けない。従業員は西表に遊びに来てそのままはまった居候たちばかりの様子だ。
ともかくも一旦キャンプ場へ戻ると、女子たちは暇を持て余して「帰りが遅い」と怒っていた。
協議の結果、今日のプランは以下のように決まった。
  • 長老タクシーで乗り場まで送ってもらい、10時半発の浦内川ジャングルクルーズ船に乗船して、上の船着場からマリユドゥの滝経由カンピレーの滝トレッキング
  • 長老はクルーズ船には乗らず、那覇から来る奴隷たちを港でピックアップして釣り場へ運ぶ
  • クルーズ船が下の船着場に戻って来たらまた長老タクシーにピックアップしてもらって、キャンプ場、夕方から船浦港で釣り
残りご飯に若鶏の残りを細かくしたものを混ぜて握って、まるで炊き込みご飯のようになって美味そうなおにぎりを持って出かける。

ジャングルへ向けて出発!
浦内川は西表島の中央にある標高312mの桑木山付近を源流とする流程18.8kmの沖縄県内最長の川。船着場(≒河口)から約8kmの軍艦岩まで満潮時に海水が遡り、ここがクルーズ船の終着地点。ここから山道を2kmほど歩くとマリユドゥの滝、そこから15分でカンピレーの滝。この山道は、途中から島を横断する長大なエコツアーのコースになる。横断エコツアーは許可を得ての入山が必要だ。
フネはヒルギ(マングローブ)やサキシマスオウノキ、昔この川沿いに有ったと言う稲葉集落のことなど、船頭の軽妙な説明を聞きながらちょうど30分で軍艦岩に到着。
時刻は11時、迎えのフネは2時間後の13時。もう既に携帯は圏外だから行動はそれなりに慎重に。健脚當間御大はハイピッチで山道をズンズン進む。女子3人+tanaka隊長はマイペース。トンボ採りの学者おじさん、オーストラリア人家族、女子旅ふたり組が一緒に下船。
やがてマリユドゥの滝。
事故が有ったとかで、滝のそばまでは降りられず展望台からの鑑賞のみ。ジャングルの景観。
直径120mほどの丸い滝壺(淀)を持つので丸淀→マルヨド→マリユドゥと言う単純な命名。南西諸島の果てのジャングルの滝としてはもっとロマンチックな命名理由が欲しいところ。この滝の250m上流にカンピレーの滝がある
上流のカンピレーの滝はマリユドゥの滝とは打って変わって拓けたナメ滝風。ここで昼メシのおにぎりを喰って引き返す。12:40船着場に戻る。フネに着くと船頭が泳いでいた。我らが自称人魚のトミーも泳ぎ出す。中洲では沢山の蝶々が水を飲んでいる。人魚が上陸して蝶々も驚いたことだろう
船頭によると汽水域で暮らす海水魚はここまで上がって来る。淡水性のボラが4種類もいる。岩の上流を見れば泳ぐのはユゴイ。汽水域に棲息するスズキ目の魚。まったく生態系のおかしな川である。
(続く)