1998年12月11日(金)、ダマスカスから国境越え→ヨルダンの首都アンマンを越えてかの「ペトラ遺跡」まで、アラブ人運転手をいつもの100US$で雇った。運転手の名前はアブ・シャーディ。シャーディの父、と言う意味だと言っていたが、シャーディの意味は忘れた。
ペトラまでは直線でも370km、道のり450kmと言う長旅だ。国境まで120km位なので所要1.5h~2h、国境でトラブって2h掛かったとしてここで昼、残り330kmを時速80kmで走って4h。夕方遅くにはペトラに着くだろうと気楽に計算した。
妹がなけなしのカリフォルニア米を炊き、海苔も具も無い塩むすびを作ってくれた。弁当に有りがたく頂き、ワゴン車に乗り込む。ワゴン車はDAEWOOかHyundaiの韓国車だった。
妹と別れ、さてこれからはペトラ遺跡観光を主とする後半戦の始まりだ。
ペトラ遺跡にこだわったのは勿論、インディ・ジョーンズ/最後の聖戦の舞台になった場所だからだ。ジョーンズの親父ヘンリー(ショーン・コネリー!)と2人で馬に乗り、シークと呼ばれる、まさに神の鉄槌一撃で出来たかのような岩の間の細い通路を走り切ると紅色に光る姿を現すエル・カズネ(宝物殿)。
垂涎の地であるここに行くのに、今回の機会を逃す手は勿論無かった。
車はダマス市街から南下し、やがて国境。家族を車に残して手続きをしに行く。運転手は自分の分だけ手続きをする。何が会話されているのか皆目わからん事務所で5通出したパスポートの内、30~40分待たされて帰って来たのは4通だけで、お袋の分が無かった。もう1通有ると尋ねるがなかなか埒(らち)が開かず、かと言って放置されているわけでも無いのでさらに30分ほど待ってもう一度「5通目のパスポートをくれ」と言った。事務所で腰かけて待っているとその内、ジャパニーズ!と呼ばれたので出頭(?)すると、本人を連れて来いと言う。
車に戻り、本人を連れて来て見せると途端にOKになり、パスポートが返却された。
車に戻ると運転手が「何か有ったのか?」と聞いた。助けろっての、困ってんだから。
その昔、日本赤軍も通ったであろう、この国境。
思うに、赤軍にTanaka Kazuo(お袋の名はカズヨ)みたいなブラックリストがあって、日本人の名前なぞ良くわからんアラブ人が警戒したのか知らんが、お袋は世界でも有数の安全な人物であることはその姿を見れば一目瞭然であろう(余裕の(笑))
ともかくこうして、国境でトラブって2h、は的中したものの社会主義国・独裁国家から観光立国・資本主義のアンマンへ再入国することが出来た。車はアンマン市街に向けて砂漠の間を南下する。
注) アンマンへ再入国の地図の通り、アラブの地図にはイスラエルと言う国は存在しない
シリアの入国カード。固くてでかくて邪魔だった |
時間が少し有りそうなのでカラク城に寄り道することにした。十字軍の城だ。運転手に言うとOT(Over Time)は+30$とか言って来たので確か半額位で交渉した。古く広大で、且つ生活感も感じる不思議なお城だった。壁画(天井画)が綺麗な教会にも寄った覚えがある。
確かこの辺で夕方16時頃になり辺りも薄暗くなり始めた。
車はすぐに暗闇の中を突っ走り始めた。街灯も無い本当に漆黒の闇をぶっ飛ばすので怖いが、慣れてるんだろう、と信頼する(しか無い)。
カラク考古学博物館の入場券。どうやら博物館に入ったらしい |
ペトラが近づいて来たのでアブ・シャーディに、安いホテルを教えてくれと頼んだ。
着いたのはPetra Moon Hotelだった。HitしたWebサイトで見ると立派なホテルだが当時はドミトリーの安宿だった。チップを渡してアブ・シャーディは消えた。
普段なら5人相部屋になる部屋を丸ごと借りた。全員で1万円はしなかった。
物持ちが良いというか、Petra Moon Hotelの名刺があった |
何とホテルの名刺の裏にあのアブ・シャーディ直筆サインが! |
晩飯は奮発することにしてすぐそばの☆☆☆☆ホテルへ歩いて行き、そこのレストランで喰った。ちょうど結婚式をやっていて日本人は珍しがられた。中華かなんか喰ったと思われる。
部屋に戻るとコンセントの形状が違い、ビデオカメラのバッテリーを充電出来ないことがわかった。近所の店を覗くがお土産屋みたいのばかりで電気部品など置いていそうもない。
仕方なく(と言うか当然)、TVと暖房を除けば唯一の電気器具であるライトスタンドを分解して線を使わせて頂いた。旅には小型のプラスドライバーとビニールテープは必須アイテムである。翌日泊まった方には灯りが点かなくて済まなかった。
翌朝ホテルでメシを喰い、何と昼飯の弁当まで支給された(ポリ袋にコッペパン1個とキュウリ1本(貧乏バックパッカー向けだね(泣)))。
ペトラ遺跡はもう目の前。
さーていよいよぼったくりPetraランドへ突入だ!
(続く)
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